ローンの返済、元利均等、元金均等、割引現在価値法

 元利均等返済とは、元金部分と利息を合計した一定金額を、一定の期間で返済していく方式です。毎月利息分をすべて支払うので、金利計算としては単利と同じことになります。返済額が一定額なので、返済計画が立てやすいのがメリットです。逆に、元金均等返済(元金部分の均等割りに利息を足して返済する方式)と比べて元金部分の返済ペースが遅く、利息総額が増えることがデメリットです。毎月定額分を元金に充当しますので、利息計算の対象となる現在残高が減っていくので、支払利息も少なくなっていく方式です。消費者金融や信販系クレジット会社では、「元利均等返済」+「リボルビング返済」を組み合わせた返済方式が多くなっています。

 

 元利均等返済の金利計算方法(1ヶ月当たり)は、月利を年利の12分の1、または月の日数/365として、

当月利息=前月借入残高×月利

当月借入残高=前月借入残高+当月利息分-毎月返済額(定額、金利含)

返済額のうち元金充当分=毎月返済額(定額、金利含)-当月利息分(利息充当分)

 

% 500万円の借金を毎月49500円ずつ元利均等で返済した場合の

% 返済月数と返済額を求める。ただし金利を年5%とする。

 

% FreeMatプログラミング Hensai1.m

clear all

c(1)=0; d(1)=0; a(1)=5000000 % 借入金

b=49500; % 毎月の返済額

for i=1:9999

    c(i)=a(i)*(0.05/12); % 利息

    a(i+1)=a(i)+c(i); % 元利合計

    d(i+1)=d(i)+c(i); % 利息累計

    if a(i+1)>b

        a(i+1)=a(i+1)-b; % 残金

    else

        a(end)=[] % (最終+1)回目は不要

        d(end)=[]

        break % a,bはコマンドウインドウに表示

    end  

end

plot([1:size(a,2)],[a;d;c]); 

 

 

 元金均等返済の場合も単利の利息であり、元金を返済回数で割った金額に毎回の発生利息を加えた額を返済する方式です。

 利息部分は各月の元金残高をもとに計算し、その合計額が毎月の返済額です。

毎月の支払額のうち、定額部分は元金充当分ですから、借入残高が早く減っていき、残高が減るほど支払利息も少なる方式ですが、初期の返済額が増えます。

 

元金均等返済の金利計算方法(1ヶ月当たり)は、月利を年利の12分の1、または月の日数/365として、

当月利息=前月借入残高×月利

当月返済額=定額の元金返済額+当月利息

今月借入残高=前月借入残高(元金)-当月返済額

 

% 500万円の借金を毎月元金38000円と利息を元金均等で返済した

% 場合の返済月数と返済額を求める。ただし金利を年5%とする。

 

% FreeMatプログラミング Hensai2.m

clear all

c(1)=0; d(1)=0; a(1)=5000000 % 借入金

b=38000; % 毎月の元金返済額

for i=1:9999

    c(i)=a(i)*(0.05/12); % 利息

    a(i+1)=a(i)+c(i); % 元利合計

    d(i+1)=d(i)+c(i); % 利息累計

    if a(i+1)>b

        a(i+1)=a(i+1)-b-c(i); % 残金

    else

        a(end)=[] % (最終+1)回目は不要

        d(end)=[]

        break % a,bはコマンドウインドウに表示

    end  

end

plot([1:size(a,2)],[a;d;c]); 

 

 

借入金利息の必要経費算入で法人税・所得税が減額されます。

借入金は債務なので、借入金の元金部分の返済は債務の返済で必要経費ではありません。一方、借入金の利子はその年分(1月1日から12月31日)が必要経費になります。元金部分と利息部分を合計して返済しているような場合は、利息部分のみの金額を計算する必要があります。建物の取得のための借入金の利息は、自宅部分は必要経費にならず、アパート部分についてのみ必要経費となります。

 

割引現在価値法でローンの毎月の返済額を計算する。

 

住宅ローンなどにはこの方式が一般的です。

 経済学での「割引現在価値法」が用いられています。たとえば、35か月後に返済する金額の現在時点での価値を計算することです。現時点で借りたお金に利息が35か月分ついて、その総額を35か月後に返済します。ただし、返済額は、ややこしくならないように毎月一定額にします。ボーナス月の返済額を変える場合も、ボーナス月としては定額にします。以下では毎月定額返済として説明します。

nか月後の返済額Xは、複利計算で 

    X=現在価値*(1+r)^n

^nはn乗で、( )の中の値をn回かけます。rは月利です。たとえば年利が1.5%なら

    r=0.015/12

です。毎月の返済額Xが一定額で分かっているとすると、現在価値Ynは 

    Yn=X/(1+r)^n

1か月後からnか月後までの返済額Xの合計の現在価値はY1からYnまでの合計です。

借入金をL円とします。返済期間はnカ月,月利はrです。

借入金Lは 

    L = X/(1+r)+X/(1+r)^2+X/(1+r)^3+ ... +X/r(1+r)^n) 

となります。右辺は,初項が X/(1+r),公比が1/(1+r) の有限等比数列です。

n項までの等比数列の和の公式 

    等比数列の和=初項*(1-公比^n)/(1-公比)  

を使うと, 

    L = (X/(1+r))*(1-1/(1+r)^n)/(1-1/(1+r))  =  (X/r)*(1-1/(1+r)^n)

となるので、 

    X= r*L/(1-1/(1+r)^n) 

が毎月の返済額で円未満は切り捨てです。ところで、nか月後の返済額Xは、X=現在価値*(1+r)^n でしたから、

     支払い利息=X-現在価値=X-Yn

支払利息は毎月異なる金額であり、会社やお店で事業用に借りたものなら、必要経費であり、その分の法人税や所得税・住民税が安くなります。

 貸し手が自分である場合は、1月から12月分までの利息分を合計します。そして雑所得として確定申告し、所得税を納めることになります。この方式の場合は、複利計算ですので、先で返済する分の現在価値は小さくなり、受け取り利息の割合が大きくなるので、先になるほど税額も増えます。したがって、現在より将来の方が、収入が減り、所得税率が低くなるような貸し手は、先で利息収入が増えても税率が低くなっているので、この方式が有利です。

 たとえば、500万円を年利5%で11年(132か月)間の元利均等で返済する場合の支払い利息の合計は、ほぼ以下の様になります。

1) 割引現在価値法(ここでの方式)          利息合計  151万円

2) 現在借入残高に対する利息を毎月支払う方式     利息合計  148万円

3) 上の2)で元利均等でなく元金均等で返済し利息も毎月支払う場合 138万円

 

この動画で説明しているFreeMatプログラムのzipファイルをダウンロードできます。

ローン返済額のシミュレーション用GUI https://ichihashi.jimdo.com/データ解析/